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2070話

この場は一瞬にして騒然となった。阿宾は袖を軽く払うと、ゆっくりと木彪の側へと歩み寄った。

顔を真っ赤にした木彪が立ち上がる。まだ納得していない様子で、阿宾が声をかける隙も与えず、飛びかかって膝で阿宾の胸を突こうとした。

阿宾は優雅に身をかわし、素早く彼の足首を掴むと、下へと引き寄せた。

ばたん、という音と共に木彪は一字馬の体勢になり、痛みで悲鳴を上げた。

阿宾はこれで相手の靭帯を傷めたことを悟り、手を差し伸べて彼を助け起こそうとした。

ところが木彪は、この状況でもなお拳を振るって攻撃してきた。まだ諦めていないようだ。

阿宾は彼の手の甲を軽くはたくと、素早く平手打ちを一発見舞った。木...