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992話

「あなた、五分後に寝室に来てね。覚えておいて、五分ぐらい経ってからよ。あまり早く来ないでね」

五分という時間は、実際にはあっという間に過ぎるはずなのに、私にとっては緊張と期待に満ちた時間だった。

時計を三度目に確認した時、まだ二分も経っていなかった。思わずまたタバコを取り出して火をつけた。

以前はタバコなど吸っても吸わなくてもどうでもよかったのに、最近は明らかに喫煙頻度が増えていることに気づいた。

寝室のドアは閉められているようで、何やら聞き取れない物音だけが漏れ出ている。何をしているのか、何を話しているのか、まったく分からない。

深呼吸して、そんなことを考えるのをやめようと自分に言...