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652話

私は妻の目にはただの通りすがりの人だった頃、妻も私に昔のことを遠回しに伝えたかったのだろう。そして、これが私と付き合う前の出来事だと分かっていたからこそ、この会話の機会を利用して私に見せてくれたのだ。

妻の私に対する誠実さの表れとも言える。

私の心は混乱していた。一方では妻がこうした事をなんの隠し事もなく正直に話してくれたことに安堵し、もう一方では、あの頃の妻がこんなに大胆だったなんて、そして私がずっとそれを知らなかったことに戸惑っていた。

若い頃の妻は、私にとって氷山美人という印象で、男子学生とあまり接触を持たない、学校でも有名な美人の一人だった。だから私の潜在意識の中では、妻は慎み深く冷淡...