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455話

「ご馳走するって言ったのに、女性に奢られるなんて、それこそ失礼になります。では、藍亭会所にしましょうか」私は夏さんに丁寧に言いながら、新区にある藍亭会所へと車を走らせた。

私の言葉に、夏さんはただ笑って首を振るだけだった。「何が失礼なものですか。これからは、むしろ私があなたにお世話になることが多いかもしれないわ。

会社で夏姉さんが持っている権限なんて財務のこのちょっとだけ。これから誰かが夏姉さんをいじめたりしたら、助けてくれないとね。だって、あなたはこれから出世するかもしれないんだから」

夏さんの曖昧な言い方に、私は一瞬ドキリとした。もしかして彼女は何かを知っているのではないか、おそらく黄...