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354話

キッチンを見ると、小鵬が手際よく準備をしている姿が目に入った。普段から家事をよくやっているのが一目でわかる。妻もそれに合わせて忙しく動いていて、こうして見るとなかなか微笑ましい光景だ。

こいつが手伝っているのに、夫である俺が何も言わないのはまずいだろう。そう思って、キッチンの入り口まで行き、声をかけた。

「小鵬、お客さんなのに手伝わせるなんて申し訳ないよ。俺がやるよ」

小鵬は少し緊張した様子で、首を振った。

「李兄さん、僕はよく料理するんです。このまま任せてください。ここに食事に呼んでもらっただけでも恐縮なのに、何も手伝わせてもらえないと気が済まなくて...」

俺が二言三言言っても、この...