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340話

「表向きは上司を敬う態度を見せないといけないな」と思いながら彼に返事をして、そうして二人で雑談しながらエレベーターで上階へ向かった。

「最近、本社で会議と研修があってね。この数日は大変だったよ」階段を上がり、エレベーターホールへ向かう途中、偽善者の黄石川がまた何気なく一言。いつでもどこでも自分の真面目で正しい一面をアピールしている。

分公司のあれだけの女性と密かに関係を持ちながら、普段は穏やかな印象を与えるなんて、こいつの隠し事は相当深いものだ。少なくとも私は彼の異常さに気づかなかった。ただ私の印象では、こいつはコネで這い上がってきたタイプで、能力のない部類に入る。

私は黄石川と社交辞令...