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998話

皆の顔に恐怖と畏怖の表情が浮かんでいた。

あの男自体が恐ろしい姿をしているうえに、後ろにはさらに人間離れした者が控えている。それだけで場の空気は凍りついていた。

対して私のような無害な若者は、むしろ皆から無視される存在だった。

正直なところ、この場にいる大勢の中で私の実力を知っている者は数人しかいない。

もちろん、こういった江湖の大物たちは古武について詳しくなく、その力の区分けなど知るよしもない。だから、彼らは見かけに騙されているのだ。

とはいえ、この洪大師は先ほどの霊者と同じ境地にいるようだが、実力はやや上のはずだ。

同じ境地にいても、実力が同等とは限らないのだから。

一つの大きな境地の中で...