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867話

「どうぞ!」柔らかな声が聞こえてきた。

その声は先ほど電話で話した董事長のものだった。

ドアを押して中に入った。

目の前が明るくなり、デスクの向こうに三十歳前後の女性が座っているのが見えた。

彼女はやや豊かな体つきで、白地に花柄の入った旗袍を身にまとい、穏やかな気品があり、墨で描いたような美しい眉をしていて、まるで古典的な美人のようだった。

彼女が立ち上がると、その旗袍が豊満な体のラインを見事に際立たせていた。

私はこれまで多くの美女を見てきたが、彼女の雰囲気は他に類を見ないもので、まるで時間を超えたかのような感覚を覚えた。

オフィスの内装も古典的な趣があり、空気中には淡い白檀の香りが漂ってい...