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832話

その後、先ほどの給仕係が二本のワインを持ってきた。正確に言えば、小さなカートで運んできたのだ。ワインは洗練されたラックに置かれていた。

彼女は手慣れた様子で一本を開け、秦姉さんのグラスに半分ほど注ぎ、次に私のグラスにも同じく半分ほど注いだ。

「こんなに高いワインだから、さぞ美味しいんでしょうね?」

これまで私は白酒やビール、フルーツワインを飲むことはあっても、本格的な赤ワインを飲んだことはなかった。秦姉さんと一緒に飲んだ記憶があるくらいだ。

そう言いながら、グラスを持ち上げて一気に大きく飲み干した。

給仕係は呆れたような目で私を見つめている。

「どうしたの?このワイン、飲んじゃいけ...