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827話

「軍人に対しては、やはり敬意を持っているんだ。特に国のために功を立てた老兵のような方にはね。もう寄付の話は持ち出さないよ」

「理解してくれてありがとう!」

「じゃあこうしよう。明日の午後一時に、兄嫁のクリニックに来てくれないか」

「ああ、分かった!」

電話を切ると、すでに日も暮れかけていた。どこかで夕食でも食べようかと思う。

秦姉のことが頭に浮かんだ。

以前、梅子と話していた時に彼女のことを聞いたことがある。

梅子によると、今は秦姉とも連絡は少なく、たまに買い物や食事に行く程度だという。

ただ、ひとつ聞き出せたのは、秦姉にはまだ彼氏がいないということだった。

もっとも、今いな...