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767話

「うん、お姉さんも喜んでたよ」

正月に二日ほど帰省したきり、もう二ヶ月以上も会っていなかった。

行くなら今だ。

昼食を済ませた後、両親に別れを告げ、町へ向かってバスに乗り込んだ。

両親は少し名残惜しそうだったが、特に何も言わなかった。結局、家にいても私にはすることがないのだから。

今回の上京について、ある診療所で働くつもりだと伝えておいた。

実は師匠が以前の友人を紹介してくれたのだ。同門の先輩で、すでに何年も都会で診療所を開いている人だった。

今は空間指輪を持っているから、外出が本当に便利になった。何も持ち歩く必要がなく、すべてその中に入れておける。

実際、生活用品もいくつか中に収納していた。...