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646話

私は何度か彼女を捕まえかけたのだが、結局逃げられてしまった。

いつの間にか、私たちはヴィラからどんどん遠ざかっていた。

振り返ってみると、もうヴィラが見えなくなっていた。

森の中は光が徐々に薄暗くなり、このままここにいたら道に迷ってしまうかもしれないと心配になった。

「小氷、もう遊ぶのはやめよう。早く戻ろう、そろそろ夕食の時間だよ」

「メクラのお兄ちゃん、うさぎ見つけたよ、早く来て!」小氷の声が前方から聞こえてきた。

「そこから動かないで、僕が行くから!」

私は焦りながら歩いて行った。

その時、顔に湿り気を感じ、手で触ってから顔を上げてみると、どうやら雨が降り始めたようだ。

この山の天気は本当...