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592話

今では人に気づかれずに目が見えるふりをするのは、私にとって朝飯前だ。

どうせ目を使う必要のない時は、いつも閉じているのだから。

だが陳主任を前にすると、つい横目で彼女を盗み見てしまう。

女性らしさが溢れすぎていて、心臓の鼓動が早まる。

「金水、昨日は徹夜したから少し疲れているわ。マッサージしてくれない?」陳主任は柔らかい声で言った。

そう言われて初めて、彼女の顔色が少し悪いことに気がついた。

くそ、こんな良い話があったとは!

女性のセラピストではなく私を選ぶなんて、へへ、やっぱり異性からのマッサージの方が気持ちいいものね!

「かしこまりました、陳主任」

陳主任は立ち上がり、「小玉、彼を中に案内...