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2765話

ただ一瞬、彼女は魂から満足の信号を発したかのように、喉から奇妙な嘯きを響かせた。

簾一枚隔てた外で、一人の男が机の前に立ち止まり、中から聞こえてくるパチパチという音に耳を傾けていた。経験者である彼にとって、この馴染み深い音が何を意味するのか、分からないはずがなかった。

妻の尻が衝撃で揺れ動く様子さえ想像できた。なぜなら、それこそが自分が最も熟知している妻のものだったからだ。彼はプラスチックの酒瓶を握りしめ、今にも潰れそうなほど力を込めていた。

だがそんな状態でも、一切の物音を立てることはなかった。中で進行中のことを邪魔するのを恐れていたのだ。子なしは三代の恥、後継ぎがいないのは一大事だ。...