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2678話

「旦那さんの方は……」私は心の中で思った。まだ離婚もしていないのに、旦那に角を生やすなんて。以前はずっとこれを気にして、旦那に誤解されるのを恐れていたのに。俺みたいな小物がああいう人物に逆らえるわけがない。

「あの人なんか知らないわ。愛人なんて何人も取り替えてるくせに、私は本気の恋をしちゃいけないの?」鄭郁紅は憤慨した様子で言った。

「あー……」私はそれ以上何も言わなかった。理屈としてはそうなのだが、男がどれだけ多くの女を持とうとも、自分の女房が外で男を作るとなれば、やはり誰だって受け入れられないものだ。

この世の男というのは基本的にみんなそんなもので、男がやれば粋な遊びで、女がやれば下...