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262話

「そうだよ。僕はそうやって一歩一歩、違う人生へと歩み出した。暗闇の中で光を求めながら」

「パン!」

「パン!」

周りの人たちの表情が厳かになっていくのに気づいた。彼らは梅子を見ていたが、きっと当時の僕の姿も重ねていたんだろう。

義姉が携帯を取り出して撮影しているのが見えた。

彼女もこの活動に意味があると感じたのかもしれない。

十メートルにも満たない距離なのに、梅子は何分もかけて歩いている!

実は、視力を失うと、人は真っ直ぐ歩くことができなくなる。通常、右足が踏み出す距離が左足より大きくなり、そうなると人は円を描くように歩いてしまうんだ!

この前、街でテレビを見ていたら、あるお寺の番...