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2598話

「そのことなら、私は大柱おじさんに自分で願い書きを持ってくるように言ったはずだが……」彼女が自分の夫のために来たと聞いた途端、ほんの少し湧き上がっていた甘い期待はきれいさっぱり消え去った。

ところが言葉が終わらないうちに、彼女の後ろから黒い影がひょっこり飛び出してきて、この男がどれだけ大胆不敵でも、思わず心臓がギュッと縮んだ。

くそっ!よく見ると、目も鼻も歪むほど驚いて言った。「大柱兄貴、なんで嫂さんの後ろに隠れてるんだよ?」内心ではほっとした。さっきはぼんやりしていて、無意識に「嫂さん」と呼んでよかった。もし「姉さん」なんて呼んでいたら、この男がどんな勘繰りをしたか分からない。

黄大柱...