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2516話

震える指でその小さな布切れを手に握り、その感触はとても繊細で滑らかだった。表も裏も清潔で、触れるだけで心地よい感覚が広がる。

こいつは思わず唾を飲み込み、我慢しろ、我慢しろと自分に言い聞かせながら、舌で唇を舐めた。結局、彼はそれを鼻の前まで持ち上げて……

まずは肺の中の空気を全部吐き出し、それから深く吸い込もうとした瞬間——

ガチャン……

外の鉄の扉が突然音を立て、俺は手足がビクッと震えた。やっとの思いで掴んでいたものを、耳を澄ませば、浴室に向かってくる足音が聞こえてきた。

くそっ!

こいつは慌てて、その布切れを青いカゴに投げ返し、何事もなかったかのように急いでシャワーの下に戻った...