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1379話

一刻の間、私は我に返った。濁った瞳には何の感情も浮かばず、ただ静かに周囲を見渡していた。

彼は辺りを見回し、何かを探しているようだった。一刻の後、私の老いた口元にようやく微笑みが浮かび、極めて妖しげな声で言った。

「ふん、室内の温度がついに氷点下まで下がったか」

「ショーの始まりだ」

私はそう思いながら、足を止めることなく彼に向かって歩を進めた。

その時、鉄の扉には幾重もの冷たい霜が浮かび始め、異様に神秘的な雰囲気を醸し出していた。思わず視線が引き寄せられ、妙に魅力的に見えた。

私はそれを見て、ボロボロのポケットから青い針を取り出した。

その針は全体が氷のような青色で、細かな霜が浮かび上がり、...