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1351話

この瞬間の私は、退散しようという気持ちが頭をよぎったが、先ほどの真っ赤な少女の雪のような白い脚を思い出した途端、足は自然と止まり、顔には決然とした表情が浮かんだ。

「人を救うのは大きな善行だ。見殺しにできるわけがない」

そう考えると、心の中は自然と晴れやかになり、暗い洞窟に向ける視線から恐怖は消え失せ、残ったのは揺るぎない決意だけだった。

私は洞窟の奥へと歩みを進めた。時に早く、時にゆっくりと、言葉では表せない独特のリズムを刻みながら。

そのとき、前方から微かな嬌声が聞こえてきた。

声はとても小さく弱々しいものだったが、この私がどんな人間か?耳は異常に敏感で、一瞬でさっきの少女の声だ...