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1349話

周囲の空気は異常に希薄で、彼の極めて敏感な嗅覚によって、かすかな血の匂いさえ感じ取れた。

「おかしいな、気のせいか?」

冷たい視線で辺りを見回しながら、私は淡々と呟いた。

前方から微かな明かりが漏れ、淡い光の点と白く眩しい光沢が異様に目を刺す。

言うまでもなく、前方は出口だ。ぼんやりと数人の通行人が何かを話し合いながら歩いている姿が見える。

それを見て、濁った瞳に一筋の疑惑が滲み、深く考え込んだ。

「一体何なんだこれは!」

「前が明るいってことは?まさか、もうここまで来たのか!」

私は周囲を見回し、異常がないことを確認すると、思わず首を軽く振った。

「何なんだよ、これ!」

「マジで誰もいないの...