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1324話

「どんな身分や地位があるんだ?あたしを追いかけてくる男たちはみんな並の人間じゃない、ほとんどが名家のぼんぼんだよ。あんた、耐えられるの?」

予想していたのとは違い、私の濁った瞳には何の動揺もなく、静かな光が宿っていた。低くかすれた声が、辺りにゆっくりと響く。

「言質を取ろうってか?この爺さん、年は取ってるが、馬鹿じゃないぞ!」

「それに、私の身分や地位は極めて隠されたもので、言ってもお前は聞いたこともないだろう」

言い終わるや否や、私は無夜の反応も構わず、太い腕で彼女をひょいと抱き上げ、足取りが急に速くなった。

もう待ちきれなかったのだ。無夜の体から漂う香りがあまりにも魅惑的で、人を引き込み、...