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1288話

私はもちろん白夜の奇妙な視線に気づいていたが、鼻を軽く撫でただけで、表情に変化は見せなかった。

冗談じゃない、この歳になって、こんな些細なことで赤面するようでは、今まで生きてきた年月が無駄というものだ。

黒衣の少女の前に歩み寄り、濁った瞳でじっくりと観察すると、目元に重々しい色が浮かび上がった。

白夜の水色の瞳に驚きの色が浮かび、やや焦れったそうに私を見つめ、切迫した様子で尋ねた。

「もしかして、この黒い短剣の紋様を知っているのか?」

「知っている」

私は淡々と答え、黒い短剣に手を伸ばして撫でながら、濁った瞳からはいつもの軽薄さが消え、真剣さだけが漂っていた。

白夜は私がこれほど真剣な眼差しを...