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1284話

「あら、私が悪かったわ。劉お兄さん、怒らないでよ。人命救助が先でしょ!」

「ふん、このお嬢様は人命救助のためだけに、今回はあなたのことを許してあげるわ!」

私は軽く頷き、玉の箱に入った寒氷の笛を白夜に差し出した。

「これをとっておきなさい。あなたへの記念として」

白夜は一瞬固まり、水色の瞳には戸惑いが満ちていた。

一刻ほどして、彼女はようやく我に返り、目には感動の色が溢れていた。

「ありがとう!」

「どういたしまして」

私は淡々と一言告げると、視線を地面に横たわる黒衣の少女へと移した。

今の黒衣の少女は全身に冷気が纏わりつき、一本の寒魄針が左腕にしっかりと刺さり、体内の出血を...