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1245話

後ろの景色をはっきりと見た時、彼女の精神力をもってしても、思わず呆然としてしまった。

後ろでは冷たい風が吹き抜けるだけで、何もなく、人影のかけらさえ見当たらなかった。

寒雪は呆然とし、美しい瞳に無限の困惑が浮かんだ。

「なんなのよ、これ?私は?」

「さっきまで彼がいたじゃない?」

「まさか、まばたきする間に消えたの?」

寒雪の細長い美しい脚は突然立ち止まり、疑わしげな目を周囲に巡らせた。

しかし、丸々一刻経っても、彼女の鋭い洞察力をもってしても、私の存在を見つけることはできなかった。

それによって、彼女の血色のあった顔は一瞬で青ざめていった。

「まさか、本当に見えなくなったの?」

元々落ち着い...