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1124話

「かつては儂も熱き血潮を持つ男であったのう。あの出来事がなければ…。結局、三歩下がるしかなかった」

「今になって再び頭角を現そうというのか。絶対に許さん、誰であろうと儂の邪魔をする者は」

そう考えているうちに、目を閉じた。すぐに鼾の音が響き始める。

身を切るような冷たい風が吹き抜けていったが、私には少しの影響もなかった。

百里の彼方、青い衣をまとった若者が遠くを眺めていた。何かを見定めているようで、長い間待っていたが人影は現れず、端正な顔に苛立ちの色が浮かんだ。

「どうなっているんだ?護衛はまだ戻ってこないのか?」

傍らには麻布の衣を着た老人が立っていた。平凡な顔立ちに黒ずんだ肌、全身から何...