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1091話

この時、私の口元に珍しく浅い笑みが浮かんだ。

その笑顔は落ち着き払ったもので、まるで風雪に耐えてきた老人が、ふと何かを悟ったかのようだった。

彼は去った。音もなく立ち去ったのだ。

葉刺骨はあちこち探したが見つけられず、白葉は探しに行かなかったが、私が去ったことを知っていた。

周囲の人々も彼のことを忘れ、まるで最初から存在しなかったかのようだった。

今の私は道路を歩いていた。頭上には巨大な火の玉が照りつけ、皺だらけの老人の顔は汗でびっしょりだった。

「くそっ、先に金を借りておけば良かった。今じゃ歩くしかないじゃないか」

「まあ、幸い懐には赤い紙幣が一枚あるがな」

時は瞬く間に過ぎ、一日後。

私は...