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1047話

その老人の息子はちょうど今の町長なんだが、俺はずっとその縁故を使わずにきた。

もともと俺は人に頼るのが好きな方じゃないし、それに実際に人に頼むことも特になかったから、相手にずっとこの恩を貸しっぱなしにしていた。

町長も昔の情を忘れず、何年もこっそり俺に物を届けてくれている。独り身の彼を見ていると、なんとも気の毒に思えるよ。

ただ、これらは全て彼が自分の給料から俺のために買ってくれたもので、いくつかは受け取ったが、高価なものは受け取らなかった。

本来なら俺はこういった人たちとは付き合うつもりはなかったんだが、意外なことに彼は本当に良い人間で、市民のために福祉を考えてくれる。それで俺も彼を認めるよ...