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1010話

「これは閃光蹴りだ!」

十七番ブースから声が響き渡った。

一見単純な蹴りだが、それは大道至極の簡潔さ、本質に立ち返った一撃だった!

先ほどの連続蹴りには多くの隙があったが、この一撃は真に完璧だった!

速さも力も、同じ境地の者から見れば文句のつけようがない。

だが、私にとっては、天眼の捉えた下では、彼の速度など全く速くなかった。

彼がこの一撃で勝負を決めようとするなら、望み通りにしてやろう!

そこで私も一声叫び、拳を繰り出した!

覇竜拳!

彼の脚と私の拳、どちらが硬いか見てみよう!

後の先で、空気を切り裂く音が轟いた!

空中にいた中年武者の表情がわずかに変わった!

しかし、もう脚を引っ込めるのは...