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9話

食事をするのにわざわざ食事時間を外す人は珍しいものだが、今日の仙味居には前代未聞の二人の客が訪れていた。

二人目の客が入ってきた時も、女将はまだ櫃台の後ろで真珠を数えていた。

淳璟の記憶では、彼が店に入ってから今まで、女将はすでに二十七回数え直していた。この新しい客が淳璟の向かいに座った時には、彼女はもう二十八回目の数え直しを始めていた。

淳璟は顔を上げて相手を見つめ、片眉を上げた。向かいの男は色白で、少し幼さの残る丸い顔立ちだったが、不快感を抱かせるような人物ではなかった。銀灰色の長い髪は大きく波打ち、遠い海の浅い波のようだった。そして丸くて濃紺の目と長いまつげを持っていた。淳璟はその目...