無良男妃

60話

淳璟は少年の頃、千府へ行って千鳴笳に会うと言っていたが、思いがけず様々な事が重なり、彼は鞭で打たれた独楽のように忙しく、一刻も休む暇もなく、ましてや佳人との密会などできる状況ではなかった。

先日、千鳴笳に別れを告げた後、彼は簡単に食事を済ませると、すぐに錦陌のところへ向かった。

その院は彼が去った時と変わらず、外周の結界さえも彼が以前張ったままのようで、一度も触れられた形跡がなかった。ただ……錦陌はどうやって出入りしていたのだろうか？

これが淳璟が門を入るなり錦陌に問いただした最初の言葉だった。彼にはどうしても理解できなかったのだ。前回は錦陌に狐族の血が流れているのではないかと推測したが...