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44話

淳璟は目を見開き、思わず足を踏み出してよろめきながら二歩後退した。やはり目だけが、この易容術における唯一の弱点だったのだ!

彼も易容した後に目の色を変えようと試みたことがあったが、そうしたところで人の目が持つ本来の輝きまでは変えられなかった。

かつて慕容の爺さんが教えてくれた時にも、易容していることを知られた後は、決してその人物の側に長居してはならないと忠告されていたのだ。

なぜ自分は忘れていたのだろう。この錦陌という男は知冷の謀臣であり、老獪な策士であり、彼らの狐族と互角に渡り合える高い知恵を持つ生き物なのだということを。

淳璟は長く息を吐き出すと、席の方へ歩み寄って座り、彼に背を向けながら...