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168話

「淳璟は石壁に体を寄せ、溝に灯された豆粒ほどの炎を見つめていた。銅の碗に入った灯油がもう尽きかけ、炎はどんどん小さくなっていき、ぷっと一瞬で消えてしまった。闇が一気に押し寄せ、何も見えなくなった。

淳璟は深く息を吸い込み、石壁に背を預けながらゆっくりと地面に滑り落ちた。膝に手を置き、無力に手のひらを広げるが、そこには何もなかった。どういうわけか、彼の狐火がまったく使えなくなっていた。気力は戻ってきたものの、手足には力が入らない。これは刑部の大牢の陣法による後遺症ではないのではないかと、彼は疑い始めていた。

「一体ここはどこなんだ!」淳璟は眉をひそめて叫び、頭を叩いて自分の愚かさを呪った。こ...