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145話

牢から逃げ出すのは難しくないかもしれないが、機関城から逃げるのは容易ではない。しかも凛然古城は気候が厳しく、人が外に放り出されれば、少しの防御力もなければ、一杯のお茶を飲む時間も経たないうちに、路上で凍死してしまうだろう。そして、誰も遺体を回収しに来ることはない。なぜなら、それらの死体はすでに周囲の環境と一体化し、分離できなくなっているからだ。

王城の境内で、知冷はすでに焦りに頭を抱えていた。一方では人魚族のスパイが逃亡したことで狼王から叱責を受け、もう一方では淳璟が出奔したことに心を痛めていた。この数日間、各地から鏡椿と称する者たちが送られてきた。男も女も、老いも若きもいたが、尋ねてみれば...