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979話

私は急いでスーウェイを連れて学校のグラウンド脇にある人目につかない一角へと向かった。ここは学校内でも恋人同士の生徒たちが好んで集まる場所で、夜中になると多くの学生がこっそり逢瀬を楽しむスポットだ。だが今はみんな授業中なので、辺りは静寂に包まれ、絶好の隠れ家となっていた。

この場所に着くとすぐに、スーウェイは自分から話し始めた。彼女の話を聞き終えて、私はようやく「金持ちにも金持ちなりの悩みがある」ということを実感した。

スーウェイは帰郷したら少しは抵抗できるだろうと思っていたのに、家に着いたとたん、父親が用意した見合い相手と対面させられたという。相手はある財閥の息子だそうだ。

スーウェイが...