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904話

「はい、じっとして」

鐘麗が丁寧に私の襟元を整え始めた。まずネクタイを結んでくれる。私は今まで一度もネクタイなど締めたことがなく、結び方など皆目見当もつかない。鐘麗は少しずつ丁寧に結び上げていく。彼女の手が私の首に回り、ゆっくりと後ろへ。そうして鐘麗の体ごと近づいてきた。私はハッとした。鐘麗は一体何をするつもりだ!

鐘麗が完全に私のすぐ側まで寄ってきて、彼女の体から香りが漂ってきた。思わず深呼吸して、その香りを吸い込む。やはり鐘麗の体からは本当に良い香りがするのだ!

鐘麗はおそらく私の動きを感じ取ったのだろう。パンッと手早く私の頭を叩いた。「何してるの!もう一回変なことしたら容赦しないわ...