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584話

あっという間に姿を消してしまった。

私はため息をついた。こうするしかなかったんだ。美女は行ってしまったし、私も山を下りる準備をしようとした。

だが、数歩も歩かないうちに、後ろから悲鳴が聞こえてきた。その悲鳴の方向は、まさっきの美女が逃げた方向だった!

私は一瞬固まり、振り向くと、遠くから人影が飛び出してきた。さっき走り去ったあの美女だ!

そして彼女の背後からは、ブンブンという音が絶え間なく響いてきた。

スズメバチだ!

私は心の中で悪態をついた。この女、運が悪すぎるだろう。まさか振り向いた先にスズメバチの巣があるなんて。大変なことになった。美女は私の方へ一目散に走ってきた!

私は顔色を変えた!こ...