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557話

「柔らかな手が私の足に置かれ、徐々に上へと這い上がってきた。私は表情を変え、目の前のお客さんを見ると、彼女は軽く唇を噛み、頬には異様な紅潮が広がっていた。その姿に私の心も揺さぶられた。

しかし、あの時胡姉さんと交わした約束をしっかりと覚えている。こういったお客さんに対して手を出すことは絶対にできない。私は申し訳なさそうに微笑み、ゆっくりと一歩後ろに下がり、動き回るその手をしっかりと掴んだ。

お客さんは表情を変え、眉をひそめて言った。「離して!後でもっと払うから!」

私は笑いながら首を振った。「申し訳ありませんが、これは私の原則なんです。お客様とそういったことはできません」そう言いながら、...