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538話

私は眉をひそめて彼を見つめ、隣にいる若い女性の肩を軽く叩いた。女性は「んん…」と小さな声を出し、より一層しっかりと私の腕を抱きしめたまま、心地よさそうに眠り続けた。

彼女を起こして少し動いてもらおうと思っていたのだが、私に叩かれた彼女は身を隠すどころか、逆に足をさらに広げてしまった。

そっと見ると、例の痴漢の顔にも笑みが浮かんでいる。

私は軽く咳払いをした。今度は隣の女性に合図を送るためではなく、盗撮している若者に対して、私が見ていることを知らせ、自重するよう促すためだった……

だが、この痴漢は少しも自制する様子がなく、むしろ一段とひどくなっていった。

これには我慢ならなかった。以前...