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216話

「これで俺の大事なモノが駄目になったら、俺の下半生はマジで終わりだ」

横目で左右を見回して、逃げるチャンスを窺った。路地を抜け出せさえすれば、豹哥たちも俺にどうこうできないはずだ。

豹哥と劉義は、いくらで、具体的にどう支払うかで言い争っていた。

二人の会話を横で聞きながら、俺も感慨深かった。意外にもこの豹哥、ちょっと頭が回るじゃないか。ちゃんと理由を作り上げて、この借用書を有効にする方法を知っているんだ。

その後、劉義が借用書を書き始め、豹哥はそれを食い入るように見つめていた。

俺の心がピクリと動いた。今なら二人とも俺に注意を向けていない——まさに逃げ出すチャンスだ!

すぐさま路地の出...