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649話

道の両側には木々と一面に整えられた芝生があり、青草の香りがしていた。どうやら刈り込んだばかりのようだ。

張毅はホテルの玄関の石段に座り、何を考えているのかわからない様子だった。他のみんなは少し離れた観光地のスーパーに行ってしまい、そこには特色のあるブレスレットや記念品がたくさんあるのだ。張毅はそういったものに興味がなく、ふとした瞬間に孤独感と寂しさが胸に押し寄せ、済南が恋しくなった。夕食を済ませた後、張毅は部屋に戻ってテレビを見ていた。本当に退屈だと感じていた時、突然趙涵がドアをノックする声が聞こえた。「小毅、いる?」

張毅はごろんと飛び起き、ドアを開けた。

趙涵がにこにこしながら中を覗...