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524話

鼻を突くニコチンの煙が空中で漂い、恨みと悔しさに満ちた彼の太った顔を覆っていた。

今、彼は後悔していた。そして自分自身を激しく恨んでいた。

最初に録音せずに、写真や動画を撮ろうとしたことを心底恨んでいた。

先ほどの張毅と于菲のやり取りを録音していれば、決定的な証拠にはならないまでも、張毅に少しでも良い思いをさせないには十分だったのに。

残念ながら、そうしなかった。

「くそっ、このガキめ、覚えていろよ。いつか必ずお前を社会的に抹殺してやる!」

真っ赤に燃える煙草の先端を孫徳は掌で強く握りしめた。数秒後、彼の肥えた顔からはあらゆる表情が消え去ったが、その小さな目には極限まで冷たい恨みが潜んでいた。...