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236話

「当然です、お互い様ですから」

その後、二人はちょっとした雑談を交わし、張毅は用事があるといって立ち去った。

これ以上居ても進展は望めないし、良い印象を残しておく方が賢明だと判断したからだ。

別荘を出ると、涼しい夜風が張毅の残っていた欲望を吹き飛ばし、頭が徐々に冴えてきた。

先ほどの出来事を振り返り、思わず声を出して笑った。

夏夢夢のさっきの前後の態度から、彼女が少しずつ自分を受け入れ始めていることはわかっていた。ただ、まだ心の準備ができていないだけだ。

今夜は滅多にない好機だったが、彼はそれを利用したくなかった。夏夢夢の気丈な性格に尻込みしたのだ。

彼女自身が望まない限り、無理強いするつもり...