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786話

「あとどれくらいなんだ?」

「この先に分岐があって、中の洞窟はどんどん多くなっていくんだ。おそらくあと三十分ほど歩けば崖に着くよ。そこから下りればもうすぐだ」

「中の酸素は足りるのか?」

「この洞窟の壁の上部には小さな穴がいくつかあるから、問題ないよ。前回来たときは松明を持ってきたけど、ずっと消えなかったから、今回は持ってこなかったんだ」

「お前はこの山がなぜ『天子山』と呼ばれているか知っているか?」花伯が尋ねた。

「知らないよ、教えてくれよ」

「伝説によれば、五代十国の時代、諸侯が割拠していた頃、ここは『武平節度使』の管轄区域だったんだ。この節度使はここの土皇帝で、最後の節度使は北宋に滅ぼさ...