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649話

「早く、目まいがひどいの」

そう言われて、李大柱は僧衣を膝まで持ち上げた。

「もっと上」

李大柱は内心ドキドキした。男女二人きりの部屋で、しかも相手は尼僧だ。これはどう考えても適切ではない。いつ誰かがドアをノックするか分からないというのに。

李大柱は手を動かさず、口だけで言った。「道を歩いていて、蛇がそんな高いところを噛むものですか?」

「違うの。さっき草むらで転んだとき、蛇が来て一噛みしたのよ。ここ、感じるの。ここが痛いの」尼僧は苦しそうな表情を浮かべ、その儚げな様子は見る者の心を揺さぶった。

李大柱が見ると、彼女が指しているのは太ももの内側だった。

「ああ—そこですか。じゃあ、誰か呼んでき...