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410話

「そっとドアを開け、足音を忍ばせて外へ出た。もちろん、白杖も忘れずに手に取った。

それから、秋水の寝室のドアのところまで行ってみると。

ドアは少し隙間が開いていて、その譚軍という男が半身を私に背を向けて、秋水の服を脱がせているのが見えた。

秋水は「ちょうだい、ちょうだい!」と連呼していた。

彼女はすでに完全に我を失っていることが明らかだった。

私はもちろん直接突入するようなことはせず、相変わらず静かに玄関へと向かい、ドアを開けて外に出た。

この時間はまだ9時過ぎ。軍兄貴は明らかにこの時間に私たちが戻ってくるとは思っていなかったのだろう。

おそらく彼は前もって私たちの状況を探っていたのだ。だから...