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2628話

「なぜ私が来ることを知っていたの?」

「聞くまでもないでしょう。こんな大事が起きたんだもの、あなたが私たちを心配するに決まってるわ。電話も繋がらなくて、心配で仕方なかったの。あなたがそろそろ着く頃だと思って、でもまだ来ないから心配になって、人を道に出してあなたを探させたのよ」真智は深い愛情を込めて彼を見つめ、眉間には限りない優しさが浮かんでいた。

男の胸の内は温かくなった。まさに心が通じ合っているということだ。

「早く教えて、どうして火事になったんだ」

真智の語りによって、李大柱は事の顛末を知ることになった。

いつものように、夜の九時に尼僧たちは勤行を終えると、消灯して休んでいた。

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