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2356話

突然、その女が振り返り、二人を指差して叫んだ。「誰か来て!この二人は泥棒よ、早く捕まえて!」

麻杆は一瞬固まり、反応する間もなく、三人の警備員が駆け寄ってきた。周囲の事情を知らない人々も集まってきた。

人々は泥棒を憎むものだ。麻杆たち二人のチンピラのような格好を見て、疑いもせずに信じ込み、たちまち二人を取り囲んだ。さらに多くは物珍しさに集まった人々で、もともと人が多かった場所は、あっという間に内側三重、外側三重の人だかりとなった。

麻杆が必死に人ごみをかき分けて出てきた時には、あの女の姿はどこにも見当たらなかった。

午後、李大柱は張婷からの電話を受け、夜の6時に県の党委員会と政府が主催...