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198話

私はその後を追った。

出入りする人は少なくなく、彼らが私に気づく可能性などまったくなかった。

しかし、彼らは上の階には向かわず、後ろの方へと進んでいった。

後ろには非常口があり、階段を使って上の階へ行くことができる。

だがエスカレーターがあるのに、わざわざ階段を使おうとする人などいない。だから、通路には誰一人いなかった。

彼らが中に入っていくのを見て、角を曲がったことを確認すると、私もそっと後を追った。

今では彼らの姿は見えないが、声は聞こえていた。

「梅子、会いたかったよ!」

梅子は軽く笑い声を漏らした。「この前会ったばかりじゃない?」

「だめだよ、一日君に会わないだけで、耐えられないんだ!...