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1336話

李大柱は最後の坂道に向かって走った。辺りは静まり返り、人影一つ見えなかったが、彼の心は何故か緊張し始めていた。自分の推測がどこか違うような気がしていたが、なぜそう思うのか明確には分からなかった。龍学風が自分を罠にかけようとするなら、ここまで大掛かりにする必要はないはずだ。あの男は二度も痛い目に遭ったから、極端に警戒するようになったのだろうか。

そんなことを考えながら、李大柱は土の斜面を上り切った。遠くには皮を剥がれたような山が見え、断層部分は黄白色の岩体が露出し、その下には乱雑な石の山が広がっていた。目の前は空き地で、その片側に平屋が一列に並び、そのうちの一室からかすかに明かりが漏れていた。...